
古墳発掘の思い出
(和風ファンタジー小説「花咲く夜に君の名を呼ぶ」の隠しおまけページにもちょっと書いていますが)学生(大学)時代の夏休み、小規模な古墳の発掘作業に参加させてもらったことがあります。
場所は埼玉県北部の某市(埼玉~群馬にかけての一帯は古墳が多く、いろいろユニークな出土品が見つかっているのです)。
それまで漠然と抱いていた「古墳の発掘作業」に対するイメージが変わる、なかなか面白い体験でした。
まず最初に、発掘にあたった古墳のあまりの小ささにビックリしました。
住宅街の中の空き地(ドラ○もんに出てくる空き地そのままのイメージ)という感じで、本当に狭い土地の中にちょっとした土の盛り上がり程度のものがあり、それが古墳だというのです。
(でも、掘ってみればちゃんと土器のカケラのようなものが出て来たりしました。)
それから、発掘作業に携わっているのが一般のボランティアの方々で、麦わら帽子に首タオル、腕にアームカバーという農作業スタイルそのままのような姿で発掘作業をされていました。
(日焼け防止のため、真夏でも長袖必須。ちなみに敷地内にはテント(学校の運動会のPTA席にあるような白いテント)が設置され、一定時間ごとにそこで休憩・水分補給などの熱中症対策がとられていました。)
それと、思ってもみなかったのですが(←後から考えれば当然と言えば当然ですが)、現場には測量士の方がいて、発掘作業中の古墳を測量していました。
そのデータを元にして後の報告書に古墳の図面が掲載されたりするわけです。
自分が一日参加して掘り当てられた土器のカケラは微々たるものでしたが、その市では既にかなりの量の土器のカケラが出土していて、修復作業が間に合わずに山のように倉庫に保管してあったりしました。
その後、土器の修復作業も少しだけさせていただき、立体パズルのようで楽しかったのですが、時間内に1つの土器を完成させることができず「これじゃ、あの量は修復しきれないな…」と納得したものでした。
(ド素人の学生の作業だったので、学芸員の方ならもっと早く修復できたのかも知れませんが。)
それまで古墳発掘と言うと、教科書に載っているような大規模な古墳ばかりイメージしていましたが、住宅街の中などに小規模な古墳がひっそりとあったりして、コツコツと発掘作業されている方々がいるというのは新しい発見でした。
古墳がそれまでより身近なものに思え、「自分の住んでいる町の何気ない場所にも、かつては古代の人々の営みがあったのかも知れない」など想像し、ワクワクしたりもしました。
…まぁ当時は、自分がその後、古代日本風のファンタジー小説を書くことになるとは夢にも思っていませんでした…。
もっとも、その古墳発掘の経験が物語を書く上で活かされているかどうかはちょっと自分でも分からないところですが…