
幼心(童心)との幸福な再会を目指して…
ホームページの方で連載しているファンタジー小説「夢の降る島」。
最初の方だけ読まれると、ハチャメチャでデタラメな ほのぼの 日常系 ファンタジー小説と思われるかも知れないのですが、作者的には実はいろいろと野心的で実験的なことをいくつも試みている小説だったりします。
自分はまだまだ若輩者ですので、小説を書く際には、1つの作品を書き上げることで小説執筆に関わる何らかのスキルがUPするように執筆の際の目標や裏テーマ(物語の上でのテーマではなく執筆の上でのテーマ)を決めて書いているのですが…
この小説の場合の裏テーマはまず1つが「子どもの頃の自由な発想を大人になった現在のテクニックで描く」ということです。
幼い頃なら誰しもが持っていたはずの、常識に囚われない自由な発想を、成長し大人になることで身につけた論理性や言語力・文章テクニックでもって描いてみよう、ということなのです。
まぁ「何ものにも囚われない自由な発想」というものは幼子だから許されることであって、大人がそれをやると「子どもっぽい」と言われそれだけで見下されたりするものなのかも知れないのですが…
世間一般の共通認識と少し違っているからと言ってそれを否定するような生き方をしていては魅力的な小説は書けないのではないかと、個人的には思うので、そこはあえてGO!GO!で突っ走ります。
もう1つのテーマが「想像力のリミッターを外す」ということ。
幼い頃は普通にできていたのに、大人になると常識や世間の目やいろいろなものに縛られて自由な思考や発想ができなくなるということがあると思うのですが…
それを「幼い頃のあの気持ちに戻って、あの頃と同じようにものを考えてみよう」「まだ何も知らなかった頃に戻って、先入観の無い瞳で世界を見つめ直してみよう」ということなのです。
つまり、幼い頃に持っていた――けれど大人になるにつれていつの間にか失われてしまったものをどれだけ取り戻せるか、どれだけ「世界を見る目」と「思考」を自由にできるかというチャレンジなのです。
それは、ただ単に小説のためというより、自分という個人の「人間」にとっても有意義な挑戦である気がします。
それはきっと、何も知らない幼い頃に見えていた「キラキラした世界」を取り戻すプロセスでもあるのです。
願わくば、そんなキラキラした純粋な世界観を、少しでも小説の中に反映できていたらな…と思います。