
あちらこちらに隠れ桜&雨桜の帰り道
春になると、町のあちこち、思いがけない所に桜を見つけて「こんな所にも桜があったんだ」と驚かされます。
建物と建物の隙間、田畑の合間、道の端、あるいは誰かの家の庭先にそれは見事な桜が咲いていたり‥。
花の季節以外では意識することも、桜だと気づくことすらなかったりするのですが、季節が変わった途端、町が桜だらけになり、何だか世界自体がそれまでとは別のものへ変わってしまったかのような不思議な感覚を覚えます。
桜色の森があちこちに出現する満開の時季も最高ですが、桜が散る頃もまた、花びらが道や水面や川辺の緑を薄紅色に染め変えていくようで趣があります。
今日は定時に上がれたので、雨降りでしたが、桜の名所の公園に寄り道しながら帰りました。
晴れの日に見た時には、真昼の光に照らされて白く清楚に輝いているように見えましたが、雨の中の桜は少し印象が違って見えました。
夕方という時間帯や、以前見た時よりだいぶ花が散ったせいかも知れませんが、花の色が濃く見え、雨に濡れた枝がすぐ頭の上まで垂れ下がっていて、前より桜が〝近く〟感じられました。
晴れた日には鏡のように桜並木を映していた川も、雨粒の描く細波により曇り硝子のようにぼんやり景色を霞ませ、その上にぽつぽつと花びらが浮かんでいるのは、まるで優美な着物の柄のようでした。
しかも雨なので他に花見客など一人もなく、桜を独り占めしているような贅沢な感覚を味わえました。
雨の中、傘をさしてする花見も、なかなか良いものです。