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レーティング考(その1)


いつの間にやらレーティングが細かく厳しくなっているようなので、いろいろ調べているのですが、調べれば調べるほどに疑問点が増えて困っています。

レーティングとは簡単に説明すれば映画で言うR18だとかR15だとかいう年齢制限のことですが、最近ではネット小説等のアマチュアの世界でもR15どころかPG12(小学生が閲覧するのに保護者の許可などが必要)レベルのセルフレーティングが広がってきているようです。

スマホの普及等もあり、より低年齢層が自由にネットにアクセスできる機会が増えて、これまでよりもっと細やかな配慮が必要になってきた、ということなのでしょうね。

それは仕方のないこととは思うのですが…問題は、いざセルフ(自分)でレーティングを決めようとなった時、何をもってそのレーティングを決めたら良いのか、ということなのです。

もちろん、現在既にゲーム業界やらネット小説投稿サイトやら、様々なところでレーティングが行われており、それなりの基準が示されてはいます。

でも正直、その基準があまりにもざっくりし過ぎている気がして、何だかなぁ…と思うのです。

レーティングの対象となる要素が具体的なようでいて、実は全く具体的でないような…。

たとえば性表現においては「キス」や「抱擁」や「性に関する話題」などが対象要素となるわけですが…

そもそもキス1つをとっても程度や種類や描き方でかなりの違いがありますよね。

「ほっぺちゅー」や「でこちゅー」や海外でよくある「恋愛感情を伴わない挨拶としてのキス」もキスはキスですし、例えば、ずっとプラトニックな純愛を貫き幾多の障害を乗り越えてきたふたりが最後の最後に結ばれて結婚式で誓いのキスを交わすのと、オレ様系男子がまだつき合ってもいない女子に壁ドンして無理矢理キスするようなシチュエーションとでは、キスの意味合いがまるで違ってくる気がするのです。

それに“描き方”によっても読者に与える影響はかなり違ってくるはずだと思っています。

たとえば映像表現だったら、唇が重なっているのがハッキリ見てとれるようなアングルで映すのか、実際にはキスしていなくてもバレないような後頭部からのアングルだったり足元だったり、もしくはシルエットを映して「キスした事実」を表現するのか…

文章でも、直接表現と間接表現がありますし、その行為を肯定的に描くのか/否定的に描くのか、主要なテーマとして描くのか/そうでないのか、こと細かに文章量も多く描くのか/必要最低限の描写に抑えるのか、エンターテイメントとして描くのか/そうでないか(←たとえば純文学など)によっても印象がだいぶ変わってくるはずです。

そもそも性表現・暴力描写・残酷表現・反社会的行為等の要素の「有無」だけでレーティングを見ていくとなれば、小学生はワン○ースやらNARUT○やらドラゴン○ールやらベルサイユの○らが読めないことになってしまうような気がするので冷や汗ものなのですが…。

(考えようによってはアンパン○ンも表現上「身体の欠損」に当てはまるような…。しょっちゅう頭部がアレな状態になっていますし…。←それを考えると絶対、全体の世界観とか絵柄のタッチとかが重要になってくる気がするのですが…)

まぁ、細かいことを言い出したらキリがありませんし、個人個人で「これくらいならOK」「ここからはNG」という線引きが違っているであろう事柄に一方的に基準を設けるのも難しいことでしょうし、そもそも「小学生や中学生に見せちゃダメなものくらい、わざわざ書いておかなくても各々で判断できるよね?」ということであまり細かく書いていないのかも分かりませんが…

そもそも、書き手(描き手)が「物語の必要上、ちょっとアレな要素は入ってしまっているけど、こういう描き方なら無闇に欲望を刺激することも、暴力や反社会的行為を助長することもないはず!」と思って書いたとしても、読み手がそれを書き手の願い通りに受け止めてくれるかどうかは分からないんですよね…。

たとえ書き手が「暴力や破壊行為はダメ、絶対!」という気持ちで物語を描いていたとしても(暴力・反社会的行為に対して否定的な描き方をしていたとしても)、読み手は作品テーマなど深く読み取ろうと思わずに実際に描かれた暴力シーンのみをピックアップして見て「カッケー…、オレもこんなんやりてー」と暴力衝動を刺激される可能性が無いとは言い切れないわけです。

それを思うと、単純に要素の有無でもって基準を決めていくのもアリなのかな…とも思うのですが…

ですが、その一方で「いや、何でもかんでもダメ・ダメで『くさいモノにはフタ』で子どもの目から隠してしまうのは逆に精神の成長においてマイナスにならないか?」という気持ちもあるので「う~ん…」と思ってしまいます。

何と言うか、規制して見えなくしてしまうと「そのことに対して考える機会」さえ子どもから奪ってしまう気がしてならないのです。

たとえば自分の場合、小学校1年の時に丸木俊さんの絵本「ひろしまのピカ」(広島の原爆を描いた絵本)を読んで、そのあまりの残酷さ(←正直、これを超える残酷なものって、世界にそうそう存在しないと未だに思います)にかなりのショックを受けましたが、それが命や人生や戦争について考えるきっかけとなり、自分の人生観や価値観に多大な影響を及ぼしたと思っています。

フィクションとノンフィクションとではまた事情が違うかも知れませんが、それでも「子どもに良い意味でのショックを与え、子どもの考える力を伸ばすことによってその後の人格形成に良い影響を及ぼす」ものも存在するのだということを考えれば、何でもかんでも否定して規制してしまうのはどうかと思うのです。

まぁ、一番良いのは第三者(思考・判断に偏りが出ないよう、できることなら複数人)の客観的かつ公正な判断によりレーティングを決めていくことなのでしょうが、時間も人件費もかかることなので、映画業界やゲーム業界のようなそれなりのお金の動く業界・団体でもない限り現実的にムリな話でしょうし、やっぱり当面はセルフでレーティングを決めていくしかないのでしょうね…。

疑問を山ほど抱えたままですし、“答え”なんてまだまだ出せそうにはないのですが…。

…と言うか、ふと思ったのですが、ひょっとしてこの手の規制って、大人目線だけで「子どもに見せたくないモノ」という基準で決めていたりしませんかね…?

実際に元・子どもだった身として「こういうのは単に欲望やタブーなモノへの好奇心を刺激されるだけだったけど、こっちは人生で大切なことを考えるきっかけになった」みたいな経験則から基準を決めたりとかって無いんですかね…?

子どもの頃よく思っていたことですけど、大人の言う「これはダメ、あれはダメ」って、何だかわりと的外れなものも多かった気がするんですけど…。

実際、子どもって、大人が思っているよりずっと“物を考えて”生きている気がします。←自分の子ども時代の記憶から振り返って考えると。

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テーマ : つぶやき
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

津籠睦月

Author:津籠睦月
ネコ・犬・小鳥などの小動物大好き人間。
オリジナル小説サイト「言ノ葉ノ森」でファンタジー小説を連載中です。
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